<琵琶湖>水草を空から把握 衛星画像で分布推定

京都大と滋賀県琵琶湖環境科学研究センターが、同県の琵琶湖の水草について人工衛星の画像分析で分布や量を推定することに初めて成功したと発表した。湖上からの調査では分からなかった繁茂の全体像を把握でき、湖の環境改善に役立つ成果という。  藻類など水中で育つ水草は稚魚の成育の場として重要である一方、過剰に茂ると船の航行に支障が出たり、取水口を塞いだりする。これまで県などは船からの音波測定やダイバーによる潜水で調査してきたが、広大な湖で全容をつかむのは難しかった。  今回、京大大学院の山敷庸亮教授らは人工衛星による琵琶湖付近の観測データを活用し、光の波長などから水の透明度を分析。水草の分布や生え方の濃密、繁茂の量を推定する手法を開発した。  2013~16年に毎秋、衛星データを基に琵琶湖南部(南湖)で分析し、13年は東岸、14年は中央部など年ごとに植生場所が変化していることが判明。水草の総量も13年の推定3390トンが16年には同4550トンになるなど増加傾向にあることも分かった。  また、検証のため14年の湖上からの実測値と比べ、衛星での推定値が9%程度多いだけで誤差が少ないことも確認した。研究チームは今後、宇宙航空研究開発機構(JAXA)とも共同研究を進め、世界の湖の解析も進める予定だ。  県琵琶湖環境科学研究センターの石川可奈子専門研究員は「これまで点でしか把握できなかったが、衛星で全体像が分かる。県が行う水草の刈り取り事業などにも役立てたい」と話している。

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