琵琶湖のアユの稚魚「氷魚(ひうお)」の漁獲量が、漁解禁となった昨年12月から1月までで約9トンにとどまり、過去最悪の不漁となっていることが分かった。1月の魚群調査では平年の1割しか群れを確認できず、アユの不漁は4、5月ごろまで続くと見ている。
例年、この時期の氷魚漁は湖底に突き刺した棒に網を張って傘のような形にし、回遊する氷魚を追い込むエリ漁で行われる。取れた氷魚は県内の養殖業者などに出荷され、一定の大きさに育ててから全国の河川に放流する稚アユなどとして出荷される。かつて琵琶湖産の稚アユは全国シェア7割を誇っていたが、各地でアユの人工種苗が行われるようになり、現在は2割程度に落ち込んでいるという。
県水産課によると、今季の解禁日(12月1日)の漁獲量は1.2トンと2009年以降の解禁日で最少。その後も漁獲量は回復せず、12~1月は計9.1トンと、今季に県内の養殖業者などからあった注文量20.2トンの約4割しかなかった。このため、2月からは底引き網漁の一種である沖曳(ちゅうびき)網漁法による漁を約20年ぶりに復活させたが、初日の1日は19キロ、4日は18キロにとどまる。さらに県の魚群探知機による調査で1月に確認できたのは37群と、平年の380群を大きく下回った。
一方、昨年夏からの産卵量の調査では平年の2倍以上の量が確認されている。また、2月に臨時で行った魚群調査では基準には満たない小さな群れが複数観測されている。このため、昨年の産卵時期のピークが遅く成長が遅れていることが不漁の原因の可能性があるといい、県では今後も注意深く状況を見守っていくという。