大津市や県の担当課、県立琵琶湖博物館(草津市)にも数件ずつ、同様の電話があったという。県の担当者は「殺虫スプレーをかけるなど駆除方法を伝えることはできるが、現状ではそれ以上の対応は難しい」としている。  ただ、かつての大量発生ほどではなく、井上さんは「特に新しい住民は驚くかもしれないが、刺したりする『害虫』ではなく、うっとうしいだけの『迷惑昆虫』。放っておいても数日で死んでしまうので、落ち着いて対応してもらえれば」と話す。オオユスリカの春の発生ピークは3月下旬から4月初旬ごろで、更に増える可能性もありそうだ。 琵琶湖底で幼虫期を過ごすハエ目のオオユスリカで成虫は体長1センチ前後。3~4月に蚊柱を作って飛び回るのは湖岸の風物詩にもなっている。  2000年ごろまでは現在と比較できないほど大量発生する年があった。近年は激減したが、2013年ごろにも多く発生したことがある。滋賀県琵琶湖環境科学研究センター(大津市)の井上栄壮主任研究員は「今年は近年としては確かに多い印象だ」と話す。裏付ける調査はされていないが、13年並みに多くなっている可能性があるという。  井上さんはこの十数年で激減した理由について、長期的には餌になる植物プランクトンが減り、代わりに水草が増えたのが一因だと分析。逆に昨夏は南湖9地点での調査で水草の重量が前年比38%にまで減り、餌の植物プランクトンが増えたことから、今年のびわこ虫の増加を説明できるという。13年に発生した前年にも同様の傾向があったとされる。

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