琵琶湖の冬の風物詩、ヒウオ漁が今季、不漁に悩まされている。解禁前に行われた県の調査では豊漁を予想していたが、10年に1度ともいう不振が続き、関係者から不安の声が上がっている。  9日午前3時半。堅田漁業協同組合の今井政治副組合長(67)は、大津市本堅田2丁目の堅田漁港から船を出した。約500メートル離れた沖合にある、えり漁の「つぼ」と呼ばれる仕掛けに向かい、家族3人で網をたぐっていく。例年ならずっしりとヒウオが詰まるはずの網が、今年は軽い。「今年の水揚げは、例年の1割程度。ここ10年で最低のレベルだ」  ヒウオはアユの稚魚で、今月1日に漁が解禁された。滋賀県水産試験場が行ったアユ産卵調査によると、今年の産着卵数は約213億粒と平年の2倍以上で、豊漁を予想していた。だが、ふたを開けてみると、初日の県内全域の漁獲高は約1・1トン。昨年初日の6・3トンと比べ、極端に不振な出だしとなった。  歴史的な不漁と言われた2012年の1・8トンをも下回る数字に、県漁業協同組合連合会の地村由紀人指導部長(52)は「すべての漁協でヒウオが揚がっていない。こんな数字は見たことがない」とショックを隠さない。漁を見合わせる漁協も現れ、9日時点で計4・3トンと、水揚げは進まない。

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