琵琶湖の湖底に大穴200カ所以上 以前に砂利採取、県が対策へ

滋賀県は新年度から、琵琶湖の南湖の湖底に点在する大穴の対策に乗り出す。これまでに200カ所以上で確認されており、最も大きいものでは深さ12メートルに及ぶ。穴の底部では水質が悪化し、生態系にも悪影響を与えている恐れがあるため、県は2年かけて調査を行い、埋め戻しなどの対策を検討する。  県によると、大穴は1960年代~2009年度の建築資材用の砂利採取でできたという。その存在は以前から知られており、07年度に県が草津市周辺の湖底約300ヘクタールを調査し、266カ所の穴やくぼみがあることを確認していた。  過去の調査では、対象エリア一帯の水深が2~4メートル程度だったのに対し、穴やくぼみでは6~10メートルに達し、10メートルを超える穴も10カ所あった。すべての穴の容積を合計すると230万立方メートルに上ったという。  県は、水深6メートル以上の穴の底付近は流れがないため酸素量が少なく、窒素やリンの濃度が高くなり、セタシジミなどの生息に適さない状況になっていると分析。南湖で時折発生する原因不明の酸素量の急低下も、穴の底の水が移動したことが原因ではないかとみる。  新年度は380万円の予算を確保し、一部の穴の酸素量や水温、水の流れなどを調べる。専門家を交えた対策検討会も設け、将来的には穴を埋め戻したり、すり鉢状にしたりして平らな砂地に戻すことを目指す。  27日の県議会で、岩佐弘明県議(自民党)の質問に対し、県は穴を改善すれば直近で53トンだったセタシジミの漁獲量を30トン程度増やせる可能性もあると説明。三日月大造知事は「長期にわたる取り組みにはなるが、南湖がかつてのような『魚のゆりかご』として再生できるように進めていきたい」と述べた。

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